音楽教室での演奏にも「著作権料の徴収権」を認める判決(2020/2/28)東京地裁
音楽教室での演奏をめぐり、ヤマハ音楽振興会などの音楽教室がJASRAC(日本音楽著作権協会)に著作権使用料の徴収権が無いことの確認を求めた裁判で、東京地裁は請求棄却を言い渡しました。

音楽教室に著作権料徴収の裁判
個人的にはとても気になっています。
これまでの流れ
JASRACは2017年2月に音楽教室で講師や生徒がJASRACの管理楽曲を演奏することについて、著作権使用料を徴収する方針を示しました。
具体的な使用料として受講料収入の2.5%と定めています。

それに対しヤマハ音楽振興会など原告側(約250の事業者)は、音楽教室で講師や生徒が演奏することは
- 「公衆」に対する演奏ではなく
- コンサートやライブのように「聞かせることを目的」としていない
ので著作権法の「演奏権」が及ばないと主張していました。
原告側の請求権不存在確認の請求が棄却される
つまり、音楽教室で演奏するには著作権の使用料を徴収してよい、という事に。
世間の反応は・・・
- 音楽が衰退する
- 正規の楽譜を購入し、それを教材にしているのなら二重取りになるのでは?
- 演奏の練習でもお金を取るというのは拡大しすぎでは?
等々・・・

結局お月謝に上乗せする形になるでしょう。
レッスン生として私が感じる事
まず、ヤマハなどの音楽教室の主張が納得いかない
- 「公衆」に対する演奏ではない
- 「聞かせること」を目的としていない
決して月謝が上がる事を望んでいる訳ではありません。むしろ今でも高いと思っていますw
ですが、音楽教室側の主張点は無理があると思いました。
レッスンの延長には「発表会」があります。
「発表会」ではレッスン生や関係者はもちろんですが、それ以外の人にも開催するので見に来てください、と言います。
音楽っていいでしょう? 一緒にこうして楽しみませんか?
と、一般の人にも見に来てくれることを呼びかけます。
そしてレッスン生はその人たちに「聞かせる」ために物凄く練習します。

実際のレッスンの時間は確かに先生相手にお互いが演奏、歌唱するだけですが、その目的は間違いなく「公衆」に対して「聞かせる」ことであると思います。
その点、ヤマハら原告側の主張がそういう所しかないのであれば、棄却されるだろうと感じました。
2重取り?
著作権の2重取り、に関してはやはり「譜面を使う」ことと「演奏して聞かせる」ことは別扱いなので、仕方ないのこはないかなぁ? と思います。
判決文ではレッスン生も「公衆」であるとの判断
ここまではネットニュースの見出しから一レッスン生が感じた感想ですが、実際の判決文を見てみました。
判決文を要約すると、ヤマハの主張はあくまでもレッスン会場の提供をしているのみで、実際の楽曲の譜面や音源の使用は講師と生徒の間でのみ執り行われているのであって、「公衆」への「聞かせる」ための使用ではないとの主張に対して
- 誰でも申し込めるレッスンに申し込んできたレッスン生=公衆であり、レッスン生は成長のために講師に「聞かせる」演奏をし、講師は指導のためにレッスン生に「聞かせる」指導をしている
- 実際の音源の使用は講師に一任されているが、その講師や再生機材、レッスン会場を管理運営しているのは音楽教室本体であり、あくまでも営利目的のための運営である。
となっています。

判決文だけを見ても、まぁそうだろうなぁ・・・という感想です。
JASRAC側がもっと信用できる団体になるべき
と、ここまで私はJASRAC側の主張に賛成意見になっていますが、それはあくまでもちゃんと作った人に恩恵があることが前提です。
これだけの反対意見が多い一番の原因は「JASRAC」の信用が低い、という所にあるのではないでしょうか?
- 本当にちゃんと管理されてるの?
- 何でもお金を取ろう取ろうとしている様にしか見えない
- その取ったお金がきちんと著作権者に行き届いているイメージが無い
等々・・・
確かに、自分が著作権を持ってる楽曲の演奏に使用料を払ったら、物凄く少額の著作権料しか入ってこなかったとか、1000年前に完成している古典雅楽演奏に対して著作権使用料の請求が来た、などのニュースは見かけます。
音楽制作者にとっては著作権管理団体は無くてはならない存在のはずです。
JASRAC自体の信頼度を上げて、作る側も使う側も納得して楽曲を任せ、それを利用をする、という仕組みが確立される事が音楽事業の今後を左右すると、素人ながらに思うのでした。
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